
Exhibition
特別展示室 「その他、企画」第5回2025.1.17 FRI
香山滋特集(2)
次々と刊行される香山滋の著書
いくら出版界が活況だといっても、印刷する用紙がなければ読者の需要には応えられない。戦災で失われ、生産量もなかなか増えないなか、裏の活字が透けて見えるような劣悪な用紙による、いわゆる仙花紙本が普通であった。それは香山滋においても逃れられないことであった。
とはいえ、1948年から出版が相次いだ香山滋の著書を見ると、当時としてはなかなか〈豪華〉と言えるのではないだろうか。
『剥製師Mの秘密』 1948年3月15日発行 江戸書院
『怪異馬霊教』 1948年4月20日発行 岩谷書店
『オラン・ペンデク奇譚』 1948年5月20日発行 岩谷書店
『木乃伊の恋』 1948年12月8日発行 岩谷書店
『蜥蜴夫人』 1948年12月10日発行 扶桑書房
(『怪異馬霊教』は書き下ろし長編で、短編「白蛾」も収録。それ以外は短編集
『剥製師Mの秘密』のカバー。
『剥製師Mの秘密』の見返しに書かれた著者のサイン。
『怪異馬霊教』のカバー。
『怪異馬霊教』の見返しに書かれた著者のサイン。
『オラン・ペンデク奇譚』のカバー。
『オラン・ペンデク奇譚』の見返しに書かれた著者のサイン。
『木乃伊の恋』のカバー。
『蜥蜴夫人』のカバー。左が初刊本、右は再出荷本。イラストはかなり扇情的だ。
ちなみに岩谷書店は「宝石」の発行元である。
あまり作品の内容とは関係のないいささか扇情的なカバー絵には、当時の世相が反映されている。