Exhibition
特別展示室 「全集」第4回2024.11.15 FRI

「日本探偵小説全集」改造社

円本ブームのなか、探偵作家だけの全集を、さらに廉価で

 1926年末、改造社が発刊した『現代日本文学全集』によって、いわゆる円本のブームが起こる。一冊一円の予約販売というシステムが読書欲を駆り立てた。翌年にスタートした平凡社の『現代大衆文学全集』には探偵作家の作品も収録されていたが、1929年には探偵作家だけの円本も企画される。ただし判型は今の文庫本とほぼ同じサイズで、2冊で1円という設定だった。

 改造社の『日本探偵小説全集』は全20巻で、19294月から翌年3月にかけて刊行された。

 
第1巻の「小酒井不木集」。洋書を思わせる落ち着いた装幀だ。

 ①小酒井不木

 ②森下雨村

 ③江戸川乱歩

 ④甲賀三郎

 ⑤谷崎潤一郎

 ⑥岡本綺堂

 ⑦松本泰

 ⑧保篠龍緒

 ⑨大下宇陀児

 ⑩横溝正史

 ⑪夢野久作

 ⑫角田喜久雄

 ⑬水谷準

 ⑭平林初之輔/橋本五郎

 ⑮山下利三郎/川田功

 ⑯浜尾四郎/久山秀子

 ⑰長谷川伸/山本禾太郎

 ⑱國枝史郎/渡辺温

 ⑲牧逸馬/城昌幸

 ⑳佐藤春夫/芥川龍之介

 江戸川乱歩が企画に関わっていただけあって、当時の探偵作家が網羅されている。


7巻「松本泰集」の口絵に入った著者写真。


14巻の「平林初之輔/橋本五郎集」の口絵。上写真が平林初之輔、下写真が橋本五郎。


15巻の「山下利三郎/川田功集」の口絵。上写真が山下利三郎、下写真が川田功。