月刊探偵【1935年~1936年発行】
PR小冊子から発展した探偵小説誌
1935年12月に創刊された「月刊探偵」は、その当時、探偵小説の出版を精力的に行っていた黒白書房が発行元である。
黒白書房は熱心な探偵小説ファンだった広川一勝と久野武司が興した出版社で、1935年9月から世界傑作叢書と称して、クイーン『支那オレンジの秘密』やキング『緯度殺人事件』などを刊行しはじめた。
そこに「黒白タイムス」という宣伝のちらしを挟んでいたが、ほどなく探偵小説専門誌として「月刊探偵」が独立した。ただ、二巻三号までは書店売りはせず、読者に直接販売していたようだ。
ページ数は少なく、自社発行の出版物の宣伝記事が多いため、掲載された創作に注目すべきものはない。一方、広川一勝による作品リストや、久野武司が語る探偵小説出版の内情は貴重である。
もとより探偵雑誌が商業的に成功するはずもなく、立て続けに多くの単行本を刊行した出版のほうも行き詰まる。「月刊探偵」が廃刊となってほどなく、黒白書房も姿を消した。