写真報知【1923年~1926年発行】
江戸川乱歩の創作の場ともなった旬刊誌
当時五大新聞のひとつとされた報知新聞社が 1923 年 10 月に「週刊写真報知」として創刊した。前年に創刊された「週刊朝日」と「サンデー毎日」を意識したと思われる。翌年に旬刊となる。
写真と時事的な記事が中心だったが、のちに銭形平次シリーズで一世を風靡した野村胡堂が報知新聞の編集顧問として在籍していたせいか、大衆小説をよく掲載していた。探偵小説的には、森下雨村、田中早苗、延原謙、小酒井不木ら、そして松本泰ほか「探偵文芸」関係の作家も執筆しているのには注目したい。翻訳探偵小説も掲載されている。
特筆されるのは、1923 年に「新青年」でデビューして間もない江戸川乱歩の創作活動の場となったことだ。1925 年から「日記帳」など、「新青年」以外で初めて短編を発表している。『探偵小説四十年』では非常に優待されたと感謝していた。
そして 1926 年 1 月から「二人の探偵小説家」(のちに「空気男」と改題)を連載開始するが中絶。「写真報知」は写真がメインとなるが終刊時期は不明である。